【整備士が教える】車検や点検で交換をおすすめされる部品の役割と意味は?

クルマを乗り続けるには定期的な部品交換・油脂交換が必要です

この記事は【クルマの維持費】の中の【整備費用】を書いた記事です

クルマの維持費を安くする上で、【クルマに関する知識】を持っているか、持っていないかは大違いです。

クルマに関する知識が無い状態で、整備を依頼するのはカモネギ状態です。
ディーラもガソリンスタンドも車検専門店も営利企業ですので、カモネギさんはウェルカムなのです。
必要のない部品交換を必要と思わされてぼったくられる可能性があります。

例えば、
「車検で整備の内容を減らして総額が安くなったとして、クルマの寿命が短くなっては意味がない」ですよね!?
「長持ちさせたいと思ってお金をかけたつもりだけど、実際寿命が伸びていないのでは意味がない」ですよね!?

なので自分で作業できる必要はなくても、その部品交換が必要かどうかを判断できることは大切です。

こちらの記事では、ディーラやチューニングショップで自動車の整備をしてきた自動車整備士のミズコが、、、

・クルマを維持する上で交換が必要になる油脂類
・クルマを維持する上で交換が必要になる部品類

これらの役割と意味合いを記載していきます。
これらを知ることで整備の必要性を自分で判断できる一助になれば幸いです。

 

クルマの維持費全体を書いた記事はこちら

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交換が必要な油脂類には何があるの?

こちらでは、交換が必要な油脂類について説明しています。

油脂類とは、クルマ使っている液体類ですね。
それぞれの液体には、劣化する理由と、交換する目安が決まっています。

油脂類の定期的な交換は、クルマを維持する上で必須となります。

 

エンジンオイルとは?

エンジンオイルとはエンジンに入っているオイルです。
定期的な交換が必要となります。

エンジン内部の潤滑・冷却・気密保持・清掃などの機能を持ったオイルです。
鉱物油・部分合成油・全合成油などの油の種類と、0w−20や5wー30等の硬さの規格、SP級等の保護性能の等級等いろいろな規格があります。
こちらは別記事で詳しく解説していますので興味のある方は御覧ください。

エンジン内部でガソリンを燃やした燃えカス中のゴミや、空気中の水分、空気と触れることで劣化が進みます。
エンジンオイルが劣化すると、エンジン保護性能が担保できなくなり、エンジン内部の金属の摩耗、エンジンに使用しているゴム製部品の劣化を早める原因となります。

そのためにエンジンオイルは定期的な交換が必要となります。

エンジンオイルの交換目安【走行距離と期間】

メーカ及び車種毎に異なります。
しかしながら、多くの人に5000km毎の交換をお勧めします。

シビアコンディションに該当しない場合
  1. 10000km毎又は12ヶ月毎
  2. 15000km毎又は12ヶ月毎
  3. 5000km毎又は6ヶ月毎(ターボ装着車)

これら3つの何れかに設定されていることが多いです。
取扱説明書やメンテナンスノートに記載があります。

またシビアコンディションに該当する場合は①と②は約半分になります。

シビアコンディションに該当する場合
  1. の場合 5000km毎又は6ヶ月毎
  2. の場合 7500km毎又は6ヶ月毎

ディーラやカー用品店等で5000km毎にオイル交換をおすすめされるのはこのためです。
現在、使用されるクルマはほとんどがシビアコンディションに該当します。

シビアコンディションとは?

シビアコンディションとはクルマにとって過酷な状況のことです。
ほとんどの方が該当するので、オイル交換は5000km毎と言われることが多いのです。

  1. 未舗装路での頻繁な走行
  2. 走行距離が多い
  3. 山道、登降坂道での走行が多い
  4. 短距離走行の繰り返し
  5. 外気温が氷点下以下の続く場所での使用
  6. アイドリングや低速走行での頻繁使用
  7. 牽引車両としての使用

上記の状態が、走行距離の30%を超える場合がシビアコンディションにあたります。

近所の買い物にしか使いませんというのは④の短距離走行の繰り返しに該当し、多くの方が該当する条件です。

また都市部でノロノロ運転の状況は⑥に該当し、都市部だとクルマには過酷です。

そのため、オイル交換は5000km毎の交換がオススメです。

エンジンオイルの規格について更に詳しくはこちらの記事で解説しています。

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ブレーキフルードとは?

ブレーキの動力をペダルから各車輪のブレーキに圧力を伝える液体です。
こちらも1年から2年毎の定期的な交換が必要です。

ブレーキオイルとは、ブレーキペダルによりブレーキマスターシリンダを押して、各車輪のシリンダを動かし、ブレーキパッド又はブレーキライニングを動かす為の圧力を送るオイルです。
密閉された空間で圧力をかけると、密閉された空間全体に圧力がかかるというパスカルの原理を使って動かしています。
ブレーキフルードはブレーキオイルと呼ぶ人もいますが、厳密にはオイルではなく水溶性の液体です。

ブレーキは運動エネルギーを熱エネルギーに変換する装置です。
ブレーキディスクをブレーキパッドで挟むと熱くなるよねという事です。
そのため、ブレーキフルードは沸騰しないことが大事です。

ブレーキフルードは空気中の水分を吸湿することにより劣化して、沸点が水にだんだんと近づいていきます。

例えばDOT4という規格であれば、新品時に沸点が230℃以上(ドライ沸点と言います)なのに対して、1年から2年程度使っていると、155℃(ウェット沸点と言います)まで下がってしまいます。
つまり熱に弱くなり沸騰しやすくなります。

ブレーキフルードが劣化した状態で、長い下り坂の道やサーキット走行などでブレーキを酷使する状況になると、ブレーキフルードが沸騰してしまい、ブレーキフルードが液体から気体に変わり、ブレーキの力を伝えることが出来なくなります。
このようにペダルを踏んでも全くブレーキが効かない状態のベーパーロック現象が起こり大変危険です。

このように劣化するため、1年から2年おきの交換が必要です。
通常の乗り方をされる場合は車検ごとに交換するのが一般的です。
サーキット走行をする方・スポーツ走行をする方であれば、車検ごとではなく交換サイクルを早める必要があります。

トランスミッションオイル

トランスミッションオイルとは、変速機の作動油・潤滑油の事です。
交換頻度は数万キロ毎となり少ないですが、交換が必要です。

トランスミッションは手動のもの(MT・マニュアルトランスミッション)と自動のもの(AT・オートマチックトランスミッション)に分けられます。
自動のものの中でも多段式オートマチックトランスミッション(AT)と無段変速トランスミッション(CVT)に分けられます。

車種や、トランスミッションの方式により、交換頻度は変わってきます。

MTF「えむてぃーえふ」又は「えむてぃーおいる」

マニュアルトランスミッションのオイルです。
潤滑の役割があります。
約2年おきの交換をお勧めします。

通常の乗用車の場合、常時噛み合い式のトランスミッションを使用しています。
ギヤそのものは常に噛み合っており、クラッチを切ってシフトを動かすと、シンクロナイザリング又はブロッキングリングというギヤの速度を同調させる機構が瞬時に回転数を合わせて、動力を切り替えて変速します。

これを読んでも意味不明ですね、「金属同士を接触させて、変速する機構が付いているから、金属粉も多少は出るし、オイルによる潤滑も必須だよ」という事です。

使用していると、時間経過による油の酸化と通常使用時の金属粉が混ざり劣化していきます。

そのために約2年毎の定期的な交換が必要です。

ATF(えーてぃーえふ)

ATFとは多段式オートマチックトランスミッション用のオイルです。
動力伝達と潤滑・作動油としての役割があります。
ATFも定期的なオイル交換が必要です。

ATは大きく「トルクコンバーター又は湿式クラッチ部分」「変速ギヤ部分」「油圧バルブ部分」に分けられますが、特に油圧バルブ部分は迷路のように複雑な構造となっており、異物が入ると詰まりやすくなっています。
トルクコンバータ部分がMT車で言う、クラッチの役割を果たしており動力伝達の要になります。

油圧バルブ部分でどのギヤに圧力をかけるかで変速を切り替えるのですが、複雑な迷路形状をしているため、オイルが劣化して切り替わりがスムーズに行われなくなると、変速ショックが出たり、最悪壊れてしまうことがあります。

このようなことにならないように定期的なオイル交換が必要となります。

CVTF(しーぶいてぃふるーど)

CVTFとは無段変速式オートマチックトランスミッションの作動油・潤滑油です。
動力伝達・潤滑・作動油としての役割があります。
CFTFも定期的な交換が必要です。

CVTは大きく「トルクコンバータ部分」「変速プーリ・金属ベルト部分」「油圧バルブ部分」に分けられます。
CVTは2つのプーリ間に金属ベルトがかけられており、それぞれのプーリに油圧をかけることで、駆動側・受動側のプーリの押さえ具合を無段階で変化させることで、スムーズな変速を作っています。

CVTの金属ベルトは一本のベルトというよりも複数の板を一周連続で繋げたような形状をしており、潤滑が必須です。

AT同様、内部は複雑な油路が組まれており、定期的な交換が必要となります。

クーラント(冷却水)

クーラントとは、エンジンが過熱しないために循環している冷却水です。
大きく分けてLLC(ロングライフクーラント)と通常のクーラントの2種類があります。
こちらはLLC(ロングライフクーラント)又はクーラントどちらを使用しているかは車種によって異なります。

クーラントの役割は、エンジンより熱を奪って、車両前方に設置されているラジエータで空気中に熱を放出します。
クーラントは熱を持つと体積が膨張し、熱を失うと体積が収縮します。
ラジエータ上側にはラジエータキャップとリザーブタンクが設置されており、膨張したらラジエータキャップを通りリザーブタンクにクーラントを逃し、収縮するタイミングでリザーブタンクより吸い込みます。

その過程で、リザーブタンク内でわずかに蒸発するため徐々に減っていきます。
リザーブタンクが空にならないように、リザーブタンク内部のラジエータ液の量を点検することが必要です。
ラジエータ液が不足すると、エンジンの冷却ができなくなり、エンジン内部に致命的なダメージを与える可能性があります。

昔ながらのラジエータ液は2年毎の交換が必要です。
LLCの場合、10年以上交換不要なため、補充のみで大丈夫です。
(ホンダ、ウルトラeクーラントの場合、11年20万kmまで交換不要)

交換が必要な部品類

エンジンオイルフィルター

エンジンオイルの内部の物理的な汚れを除去するために装着されているフィルターです。
オイル交換2回に1回が交換目安です。

エンジンオイル内部の汚れとは、金属同士接触して発生した金属粉や、ガソリンの燃えカス等の物理的な汚れを除去します。
エンジンオイルの酸化などの液体そのものの劣化はもとには戻りません。

オイルフィルターが詰まると、エンジンオイルが潤滑しなくなる、、、訳ではなくフィルター内部のバイパスバルブが開かれて、オイルは循環し続けます。
詰まった状態だと、異物を除去せずにそのまま循環してしまうので、急速に摩耗が進んでしまいます。

走行に最も重要な、エンジンの寿命を縮める事になりますので、オイル交換2回に1回は交換するようにしましょう。

スパークプラグ

スパークプラグはエンジン内部で混合気(ガソリンと空気の混ざった気体)に電気で雷を起こし、ガソリンに点火するための部品です。
点火プラグと呼ぶ人もいます。
地味な部品のため、忘れられがちですが、定期的な交換が必要です。
こちらは装着されているスパークプラグの種類によりますが交換目安は2万km毎です。

大きく分けてスパークプラグは一般的なプラグとイリジウムプラグがあります。
(白金プラグやその他金属もありますが、ここでは除外します)
イリジウムプラグの中でも中心電極と接地電極両方に貴金属を使っているものと、中心電極のみに貴金属を使っているものがあります。

圧縮空気の中で火花を飛ばすのは大気中で火花を飛ばすよりも遥かにエネルギーが必要です。
スパークプラグは、火花を飛ばしわずかずつ摩耗していきます。
摩耗していくと、電極間の距離がわずかずつ伸びていきます。
そのわずかの差が圧縮空気中での、火花を飛ばす能力の低下となり、失火(混合気の点火に失敗すること)が増えて燃費及びパワーが落ちて、排気ガス中に未燃焼ガスが増えて、環境及び燃費に悪影響を及ぼします。

一般的なプラグと中心電極のみに貴金属を使っているイリジウムプラグの交換目安は2万km毎です。
中心電極と接地電極の両方に貴金属を使っているイリジウムプラグは長寿命で10万km毎となります。

プラグトップコイル

プラグトップコイルとは、スパークプラグの直上に取り付けられている、高電圧を作ってスパークプラグに火花を飛ばす為の部品です。

スパークプラグに「ミニかみなり」を飛ばす為の電圧を作るためのコイルです。

寿命は排気量などによって異なりますが、約10年程です。

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バッテリー

クルマの始動時に使う電力や、瞬間的に電力を大量に使う時に、電力を貯めておく為の部品です。

アイドリングストップ車の場合専用のバッテリーが必要になります。

通常のガソリン車又はエンジンルームに補機バッテリーがあるタイプのハイブリッド車は通常のバッテリーです。

室内にバッテリーが搭載されるタイプのハイブリッド車は専用バッテリ(ガスが発生しないもの)が必要になります。

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タイヤ

タイヤは、車で唯一地面と接しているパーツです。
こちらは残り溝の量と劣化具合により交換が必要となります。

タイヤの残り溝の目安

タイヤの残り溝の最低ラインはスリップサインと呼ばれる三角マークの位置1.6mmとなっています。
スリップサインが一箇所でも出た状態だと走行禁止です。
道路交通法違反となります。

スリップサインが出た状態で走行し、整備検問等で摘発されると、違反点数2点と6000円から12000円の過料となります。
スリップサインが出る前には必ず交換して下さい。

また、交換の目安の残り溝は約4mm程度となります。
溝が浅くなると、雨天走行時に水を逃がす性能が下がり、スリップしやすくなります。

タイヤの劣化具合による交換

タイヤの劣化による交換目安は5年から10年となります。

なぜ、こんなに幅があるかと言うと、使用状況・保管状況により寿命が大きく変わるためです。

カーポートやガレージ等で保管されている車のタイヤのほうが劣化が遅いですし、砂利駐車場と舗装路面でも異なります。
タイヤ空気圧が低い状態で乗り続けると、たわみ量が大きくなり劣化も進みます。
直射日光や雨が当たると劣化が促進されます。

タイヤ表面のひび割れが目安となります。
タイヤ内部に達するひび割れでなければ問題ありませんが、ゴム劣化の目安にはなります。

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エアクリーナーエレメント

エアクリーナーエレメントとは、エンジンに吸い込む空気からゴミを取り除く部品です。

イメージとしては掃除機のフィルターのような役割です。

湿式と乾式があり、定期的な交換が必要です。

詰まった状態だと、ポンピングロスの増大により燃費の大幅悪化を招きます。

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