イソップ寓話(ぐうわ)アリとキリギリスから学べることを考察していきます。
なおこの考察はミズコの私見が全開で入っていますので、「それは違う!」と感じる人もいるでしょう。
そこはご承知起き下さい。
イソップ寓話・アリとキリギリスとは?
アリとキリギリスのストーリー
夏の間、アリはせっせと食べ物を集めて働き、キリギリスはヴァイオリンを弾き、歌って過ごしていた。
やがて冬が来て、食べ物が見つからなくなり、キリギリスがアリに食べ物を下さいとお願いする話しです。
子供向けのエンディング
アリはキリギリスに食べ物を分けてあげて、キリギリスがアリに感謝してキリギリスが「あーちゃんと働こう」と改心して終わります。
こちらは子供の頃に聞いた、改変されたストーリーですね。
改変パターンはいくつかあるようですが、食べ物を分けてあべて、キリギリスは死なないというのは共通のようです。
本来のエンディング
アリは、食べ物を求めてきたキリギリスに対して「夏は歌っていたんだから、冬は踊ったらどうだい?」と食べ物を分けることを全力で拒否。
キリギリスは飢え死にしてしまうのだった。
アリとキリギリスの象徴
登場人物はどちらも両極端な象徴です
アリとキリギリスの登場人物はもちろんアリとキリギリスです。
アリとキリギリスはそれぞれが両極端な登場人物として描かれています。
物語としては、両極端な登場人物がいたほうが面白いです。
振り切ってる方が楽しいのですね。
「海賊王に、俺はなる!」
このセリフを言った段階で漫画・ワンピースのルフィーは、実績もなければ結果も全く出していないのです。
「海賊王になってみたい!とりあえず!目指すけど!ダメそうなら働く!」
とか宣言していたら、1巻で打ち切りになるつまらない漫画になりますね。
アリとキリギリスの両者も、「働く100%」と「遊ぶ100%」の極端な登場人物です。
食べ物は現金貯金の象徴
アリとキリギリスの食べ物を蓄えるとは、人間に置き換えると「現預金を蓄える」という事になります。
人間はそのへんから食べ物を取ってくることは窃盗ですからね。
給料や売上として現金をもらい、そのお金で食べ物を買って暮らします。
この話の食べ物は現預金の象徴とも取れます。
夏と冬は好景気と不景気の象徴
アリとキリギリスで表現されている夏と冬は人間に例えるならば、好景気と不景気という事になります。
好景気のうちに不景気に備えよう
夏=好景気こう考えることも出来ます
こういう教訓も得ることが出来ます。
食べ物がよく取れる時期は好景気の象徴
食べ物があまり取れない時期は不景気の象徴
こういう捉え方も出来ますね。
アリとキリギリスのアリはいつ遊ぶのか?
アリ遊んでなくない?
アリはせっせと働いて、ひたすらに食料を貯めています。
ひたすら働いて、働いてためて、おそらく寿命を全うするまで盤石に暮らせるでしょう。
しかしながらアリは全く遊んでいません。

アリの生き方もいまいち
さて、子供の頃はアリとキリギリスだったらアリの生き方の方が良い。
こう教えられて来たかもしれませんが、よく考えると生きてるだけで余暇が全くありません。
この話は両極端な登場人物で構成されている。
これは先程書きましたが、明らかに働きすぎです。
働いているだけで一生を終えました。
キリギリスは「絶対に働きたくないでござる!」
キリギリスの生き方は寿命まで生きれない
アリとキリギリスの世界では夏はそのへんに食べ物があるので、キリギリスは夏の間は遊んでいても死にません。
しかし、冬が来たらあっという間に餓死してしまいました。
人間で言うならば「働くことは出来るけど、絶対に働かないっす!貯金ないけど!遊んで寝て暮らす!」と遊び倒し。
「まじで水道止まったし、冷蔵庫空だし、詰んだ」
こんな感じですね。
日本なら生き残るかも知れませんが、海外ではのたれ死にますね。
アリとキリギリス、どちらの生き方が良いのか?
どっちの生き方もいまいちです
この物語は、両極端に表現されています。
おそらく、多くの人は「アリのように生きなさい」と言われたと思います。
でもどう考えても、どっちも御免です。
生き残ってるだけ、アリのほうがマシではあります。
しかし、アリは全く遊んでいないし、助けを求めるキリギリスに「夏は歌っていたんだから、冬は踊ったらどうだい?」とめちゃくちゃ嫌味に切り捨てています。
アリとキリギリスのアリは、堅実だけれど、性格が悪いのか!?
アリとキリギリスのアリが食べ物を分けなかった理由を考察
そもそもアリの食べる分しかなかった場合
アリは分けたくても分ける事が出来なかったかもしれません。
分けてしまうと、キリギリスもちょっとは生きてる時間が長くなるが死んでしまう。
分けてしまうと、アリも冬の食料が尽きて死んでしまう。
この場合は、分けることが出来ませんね。
自分の分が足りていない状態では分けてあげられません。
この場合のアリは「夏の間全力で働いたが、冬の間に食べる分を賄うので精一杯だった」ということです。
潤沢に食べ物があったのにあげなかった場合
アリは豊富に食べ物をもっていたが、キリギリスが夏の間遊んでいたのを見ていたので、分けたくなかった。
「夏は歌っていたんだから、冬は踊ったらどうだい?」と食べ物を分けることを全力で拒否しています。
アリは、分けなければ相手が死んでしまうと分かった上で、分けなかったという事です。
この場合、なかなかの悪役っぷりです。
キリギリスは夏の間の過ごし方を失敗しました。
アリはキリギリスを救済することも出来たのです。
にも関わらず、切り捨てた。
「失敗を挽回するチャンスを与えなかった」という事ですね。
冷酷100%です。
アリとキリギリスのキャラクターの能力が違ったら?
アリの能力が低かった場合
アリはひたすら働き続けて、冬を過ごし、冬をギリギリ過ごすだけの食べ物しかない。
もしくは、ひたすら働き続けて、冬が来て、蓄えが無くなって飢え死にしてしまうでしょう。
この場合のアリは「ワーキングプア」状態です。
働けど働けど我が暮らし楽にならざる。です。
アリは一生懸命働きましたが、冬が来て食べ物が足りずに死んでしまいました。
キリギリスは遊んで暮らしましたが、冬が来て直ぐに死んでしまいました。
fin
ダブルデッドエンドというしょうもない話しです。
アリの能力がめちゃくちゃ高かった場合
アリはある程度食料を溜め込んだら、冬を余裕で越せる在庫を持っています。
すると、アリも遊ぶ余裕が出てきますね!
キリギリスが歌っているところに行って、歌声を楽しんだらチップとして、食べ物を分けてあげるなんてことも出来たかもしれません!
この場合のアリは「専門職タイプ」です。
ある能力に特化して、稼ぎが良いアリです。
キリギリスが有能でライフワークバランスを意識して働くタイプだったら
キリギリスは食べ物をかなり効率よく集めることが出来て、「今日はこんだけ集めたから、後は歌って遊ぼう!」とメリハリを付けて働いています。
もちろん冬に飢え死にしてしまうこともありません。
働くタイミングと、休むタイミングを自分でコントロールして、メリハリを持って働きます。
この場合のキリギリスは「フリーランス又は自営業タイプ」ですね。
キリギリスが先を見て猛烈に働くタイプだったら
キリギリスは、先の人生を考えて「遊びたいけれど、飢え死にはしたくない!」と猛烈に食べ物を集めました。
何年も先の冬までに備えて食べ物を集めて、一生分の食べ物を集めました。
最初は、遊ばずひたすらに何年も溜め込み続けて一生働く必要がなくなりました。
この場合のキリギリスは「FIRE達成タイプ」です。
※FIRE=経済的自立と早期リタイア
アリから見てキリギリスはまた遊んでるなーと思われていますが、実は一生働く必要が無くなっています。
得られた教訓「人的資本は大事」です
人的資本とは?
自らが働いて稼ぐ力です。
例えば、20歳から60歳まで40年間、平均手取り500万円稼ぐサラリーマンとします。
500万円×40年=2億円です。
※本当は割引率等、他にも考慮する必要がありますが概念の説明なので無視します。
この人の見込みの人的資本は2億円です。
このように自らが働いて稼ぐ力を、人的資本と言います。
金融資本とは?
金融資本とは株式や債権などの持っているとお金を生み出す資本です。
例えば
1000万円分の金融商品を持っていて、利回り5%であれば、年間50万円が生まれます。
このように金融商品が生み出す資本の事を金融資本と言います。
人的資本の重要性
アリとキリギリスの話に戻りましょう。
アリがめちゃくちゃ優秀で、食べ物を早く集められるということはアリの人的資本が大きいということです。
逆に、アリが能力が低くて、食べ物を集め続けても冬を乗り越えるのがやっとの状態はアリの人的資本が小さいという事です。
キリギリスの場合も同様です。
自分の収入を上げるという行為は、自分の人的資本を大きくする行為です。
この人的資本を高めるというのは非常に大切な考えになります。
年収UPのインパクト
先程の例の20歳から60歳まで平均手取り年収500万円の人を例に出します。
40歳で転職して、60歳までの平均手取りが750万円になったとします。
差額は 250万円×20年=5000万円です。
転職をすることによって、人的資本が5000万円上がりました。
結構なインパクトのある金額ですね。
このように年収アップは、残りの労働年数との掛け算になるので、計算すると非常にインパクトが大きいのです。
得られた教訓・「人生の時間の使い方」
自分の人生の中での立ち位置を見直そう
キリギリスは人生の時間の使い方を失敗しています。
これから来る食べ物がない時期に向けて備える事をしていません。
人間でも同じです。
自分のライフイベントで起こりうる出費、分かっている事柄について備えなければなりません。
長期スパンで考える
今の自分が人生のどのステージにいるのかを客観的に考えましょう。
人生の選択肢
- 結婚は考えているか?
- 子供は欲しいのか?
- 家は買うのか?
- クルマは持つのか持たないのか
- 子供の学費の発生時期
- 親の介護費用の発生時期
人によって考慮することは異なります。
今が蓄財タイミングなのか資産減少タイミングなのかを見極めましょう。
出費が重なるタイミングでは、資産は減少します。
減少する時期が先に控えている場合、今が蓄財タイミングです。
「今使うお金」と「将来に備えるお金」の舵取りをするタイミングです。
減少する時期をおおよそ把握していれば、備える準備期間の長さと、備える費用がおおよそ分かります。
アリとキリギリスは「人生の時間の使い方」も教えてくれます。
得られた教訓「愛」は大事
お金と幸福度の実験
かつて、カナダのサイモンレーザー大学でこんな心理実験が行われました。
街行く人に声をかけて、封筒を渡します。
封筒には5ドルが入っています。
その封筒を使って2パターンの検証をすると言うものです。
(実際の実験は4パターンでで行われましたが端折ります)
実験2パターン
- 今日の午後5時までに、この5ドルを自分のために使って下さい。
- 今日の午後5時までに、この5ドルを他人のために使って下さい。
このような実験です。
そして、その後の幸福度を調査するというものです。
他人に使った方が幸福度が高い
5ドルという金額は少額です。
今の為替レートには合いませんがイメージは「500円」位です。
結果は、自分に使ったグループよりも、他人に使ったグループの方が幸福度が高かったのです。
感覚としてもなんとなく分かりませんか?
例えば
作業に来てくれた引越し屋さんに冷えたお茶を買って渡すときの幸福度
自分が冷えたお茶を買って飲む幸福度
金額は同じだったとしても、人に使った方が幸福度は高く感じやすいのです。
※個人差はあると思います。
アリはキリギリスを助けたほうが幸福度が高い
本来のストーリーではアリは、キリギリスを見捨てています。
アリが分けるほどの食べ物がなかった可能性がありますが、食べ物があった場合、分け与えたほうが、アリの幸福度は高くなります。
分けられる状態で、分けずにいて、キリギリスの餓死した姿を見る。
こんな寝覚めの悪いことはありません。
「人に与える行為」は幸福度を高めます。
愛は地球を救う!
どっかの営利番組と同じですが、人に与える方が幸福感は高まるのです。
人に与えられる人になるには人的資本を高める必要があります。
自分自身が満たされていないと、人に分け与えることは難しいですからね。